ロクロ挽き
木は主に桂(かつら)が使われ、6か月から1年かけて乾燥させ、製品用途にあわせて成形していきます。丸いものはロクロ等を使って加工します。
たち込み
形、大きさ、用途にあわせて図案をつけ、小刀で切り込みをいれていきます。このたち込みの角度によって、図の遠近感、ボリュームなどを表現します。
刀痕
たち込んだ線の外側を彫刻刀で落とし、文様部分を浮き上がらせ、各種の刀を使って肉付けし、文様以外の部分には刀痕をつけます。刀の彫り跡をわざと残すのは鎌倉彫の特徴で深い味わいを与えています。
下地
漆(うるし)の木から採取したそのままの樹液を生漆(きうるし)といい、この生漆を全面に塗りしみ込ませて、塗膜の基礎をつくります。彫刻面には彫りをいかすために蒔地をして、除々に肌をつくっていきます。塗りと塗の間には、必ず「研ぎ」という工程がはいります。
蒔き下地
彫刻面に生漆を同じ厚さに塗って、炭粉(すみこ)または、砥の粉(とのこ)を蒔き付け、乾燥後に研ぎます。これにより、彫刻面の凹凸を十分に生かし、なめらかな塗上がりにします。
中塗り
黒漆で中塗を行い、彫りの際に漆が溜まらないように細心の注意をはらいます。乾燥後、砥石や研ぎ炭、サンドペーパーを使って研ぎ上げます。
上塗り
透明度の高い透漆(すきうるし)に朱色の顔料(がんりょう)を練り合わせた上塗り(うわぬり)漆を塗ります。
乾口とり マコモ蒔き
上塗り漆の表面が落ち着き、漆が固まる寸前にマコモ、もしくは煤玉(すすだま)の粉を蒔きつけます。乾燥後、砥ぐことで彫刻部分に陰影ができ、全体に古色がかかった落ち着いた色調になります。
摺漆
生漆を薄く全面に塗付け、綿布でよく拭きとり、磨きをかけます。ほどよい艶に仕上がるまで、二~三回繰り返します。
完成
漆器は使えば使いこむほど、味わい深いものになります。それは、これだけの工程を経て塗りあげられていることが、理由の一つといえます。